昨日、ユーロリーグの生中継をLivebasketballTV(有料)で見ていたんですが、その裏でスペイン2部リーグの試合がスペインバスケットボール連盟(FEB)がやっているFEBTV(無料)で中継があったので、フト見てみました。
FEBTVはスペイン2部3部と女子1部やユース年代の試合などを完全無料で生中継(毎週3-4試合をピックアップ)してくれるマニアには嬉しいネットサービスです。
クリニカス・リンコン対ジェイダ
目にとまったのは他ならぬクリニカス・リンコンの試合だったから。同チームはスペイン南部のマラガにあるチームでクリニカス・リンコンというのは医療関係の企業の名前でそこのオーナーさんがバスケLOVEなためチームを持っているとかなんとか、そして2部リーグを戦っているのですが、チームの目標は1部ACBへの昇格ではない。同じ街のウニカハ・マラガと提携、同チームの2軍チームとして活動しているのです。
2014年2月に日本からコーチのための学びツアーでマラガへ行ったのですが、その時のお世話になってクリニックをしてもらったり、練習見学させてもらったのがクリニカス・リンコンなんです。
EURO BBAコーチング・エデュケーション・ツアー2014 in マラガより
中継の様子と結果など
試合は66-74でクリニカス・リンコンが敗戦しています、スタッツへのリンクはこちら
勝利したジェイダには、リッキー・ルビオの兄マルクがいたり、ACBでも活躍したシメオンやアルフォンソ・アルサモラ、NCAAを出たアメリカ人やナイジェリア人の助っ人外国人もいる、いわゆる1部ACB昇格を狙うチームです。
クリニカス・リンコンの若手はどれほど若いのか
まずはオレンジ丸がついているのがスターターなので5人から紹介
- PG ルーベン・グティエレス(19歳 / 192cm)
- SG モー・ソルアデ(19歳 / 196cm)
- SF ロマリック・ベネメネ(17歳 / 202cm)
- PF ケナン・カラホズィッチ(18歳 / 210cm)
- C リカルド・ギジェン(38歳 / 207cm)
38歳のギジェンはもう半分ACみたいなもので、昨年クリニカス・リンコンのチーム練習を見に行った時も別メニューだったり、同じメニューでもAC的な役割を果たしていました。しかし残りの4人の年齢構成はどうでしょう、日本で言えば高校2年生から大学1年生といったメンバー構成です。これで1部ACB昇格を狙うチームと普段のリーグ戦を戦っているのです。
ちなみにカラホズィッチは前日にあったユーロリーグの試合、トップチームのウニカハからコールアップされアウェイ遠征に帯同、短い時間ですがトップデビューしたばかり。SGのモーはアンダー世代のイギリス代表選手ですが、2月にコーチの学びツアーで行った時にはHCとともにクリニックのデモンストレーターをしてくれた選手です。
控え選手も見てみましょう。私が中継をつけた時にコートにいたのは、
- PG アンドレイ・マグデフスキ(18歳 / 190cm)
- SF サボニス次男(22歳 / 203cm)
- C ビニー・オコウオ(17歳 / 215cm)
マグデブスキは2013-14シーズンまでレアル・マドリードのU18チームにいて、今季からプレータイムを求めて移籍してきた選手、実はマケドニア人で2014年夏マケドニア代表でもデビューしています。
サボニス次男の22歳がやや経験ある年齢の選手に思えてくるから不思議です。
そしてオコウオ、コンゴ共和国のビッグマンですが、とにかくでかくてダイナミックな動きでした。
他に試合に出ていたメンバーですが、
- SG アルフォンソ・サンチェス(27歳 / 195cm)
- SF ホセ・ヒメネス(18歳 / 197cm)
- C ブルーノ・ディアッタ(18歳 / 208cm)
- PG カルロス・コルツ(17歳 / 182cm)
確かに核となりうるギジェン38歳とサンチェス27歳がいて、多めのプレータイムですがそれ以外のメンバーは17歳18歳19歳のエリート選手ばかり、今か今かとコールアップを待ち、またウニカハ以外のプロチームからのオファーを待ち続ける日々になります。
ツアーにいった2014年2月はまさに2013-14シーズンの真っ最中でしたが、練習見学していた時に見たホセ・ポサスというPGが目立っていていい選手だなーと思っていたら、ツアーから帰国してすぐACBのバリャドリードへのレンタル移籍が決まり活躍、2014-15シーズンは1部ACBのリオ・ナトゥラ・モンブスとの契約を得ました。
また同じく練習で見たアルベルト・ディアスというPGも、ツアーから戻って翌月、1部ACBビルバオのラウル・ロペスが怪我をしたため、レンタル移籍でACBビルバオへ加入、2014-15シーズンも1部ACBフエンラブラダで契約を得ています。
また2013-14シーズン、クリニカス・リンコンでプレーしていたセネガル人ビッグマンのマンド・ンギラネ(210cm / 21歳)は今季ウニカハのトップチームに登録されました。
クリニカス・リンコンの育成統括の方も言っていましたが、ウニカハはスペイン南部アンダルシアではエリートチームです。なのでU18チームが同じ街の同年代チームと試合をしても得るものはなく、同じアンダルシアの大会に出ても勝って当たり前なので、U18にあたる17歳18歳で才能のある子は飛び級でクリニカス・リンコンでプレーさせると言っていました。
じゃあ、U18の大会には出ないのかというと、ウニカハではU16チームをU18の大会に送るんだそうです。U16ウニカハもまた、同じ街の同年代のチーム、同じアンダルシア州のU16チームと戦っても得るものがないという判断です。
こうしてエリート選手たちはいつも上の世代との試合を重ねることで経験をつみ、ACBデビューへの階段を登っていくのです。
※冬にあるスペインの全国大会のようなものにはU18のレアル・マドリードやバルサも出てくるので、その時はウニカハもU18チームをU18の大会に送ります。