日本では土曜日にNBL初代チャンピオン東芝が誕生し、日曜日に琉球ゴールデンキングスがbjリーグで3度目の優勝を決めた週、スペインではやっと2013-14シーズンの1部ACBレギュラーシーズンが終了しました。
スペイン1部ACBは18チームで構成され、1リーグでホーム&アウェイの総当り、17チームと年2回(地元と敵地で)対戦して、計34試合がレギュラーシーズンになります。試合は基本土曜日か日曜日の週1回で、上位8チームがプレーオフに進出します。※現在ACBはエンデサ社がスポンサーとなり、リーガ・エンデサもしくはリーガ・エンデサ・アーセーベーという名前です(解説)
ACBプレーオフは8チーム、降格は2チーム
- レアル・マドリード 32勝2敗
- バレンシア・バスケット 30勝4敗
- F.C.バルセロナ 27勝7敗
- ウニカハ・マラガ 23勝11敗
- グラン・カナリア 22勝12敗
- ラボラル・クチャ 19勝15敗
- カハソル・セビーリャ 18勝16敗
- CAIサラゴサ 18勝16敗
- FIATCジュベントゥット 16勝18敗
- ギプスコア・バスケット 16勝18敗
- イベロスター・テネリフェ 14勝20敗
- リオ・ナトゥラ・モンブス 13勝21敗
- UCAMムルシア 12勝22敗
- ビルバオ・バスケット 12勝22敗
- バロンセスト・フエンラブラダ 12勝22敗
- トゥエンティ・モビル・エストゥディアンテス 12勝22敗
- ラ・ブルイシャ・ドール 7勝27敗
- バリャドリード 3勝31敗
下位2チームのラ・ブルイシャ・ドール・マンレサとC.B.バリャドリードは2部に降格となります。
2部3部はレブ、オロが金でプラタは銀
2部リーグ3部リーグは正直毎年チーム数が変わります、これは主に経済危機の影響で倒産するチームが出たり、2部から一気に4部に降格したり2部から地域リーグまで落ちるチームも出たりなど、毎年再編せざるを得ない状況が続いています。最盛期には3部と4部の間にLEB Bronce(レブ・ブロンセ・銅)というリーグがあった時期もありました(2007-08と2008-09シーズン)その時はLiga EBAが5部リーグの扱いでした。
何が違うかというと上のリーグほど、リーグに納めるお金の額が大きい(リーグ参加権利金)というように考えればいいと思います。そのため、ここ数年は2部LEB Oroで優勝して1部ACB昇格の権利を得ながら辞退するチームが出たり、1部ACBで最下位になり降格が決定したものの、上がってくるチーム辞退でACB残留などのケースも出てきました。
2部LEB Oro 2013-14
ここ5シーズンだけ見ても18→18→18→14→14とチーム数が減っている2部リーグLEB Oro(レブ・オロ/ Oroはスペイン語で金の意味)、英語サイドではLEB Goldなどと表記されていることもあります。LEBは当然リーガ・エスパニョーラ・デ・バロンセストの略です。
14チームが1リーグでホーム&アウェイの総当り、13チームと年2回(地元と敵地で)対戦して、計26試合がレギュラーシーズンになります。試合は1部ACBとの重なるのを避けて基本金曜日夜の週1回の開催です。ACBと違うのはレギュラーシーズン1位のチームが自動優勝でACB昇格の権利を得て、2位から9位の8チームがプレーオフ進出、プレーオフを勝ち抜いたチームもACB昇格の権利を得るというシステムになっています。
レギュラーシーズン優勝:B.C.リーベル・アンドラ・モラバンク
プレーオフ優勝:フォード・ブルゴス
前述のようにここ2年経済的問題でACB昇格を辞退するチームが続きましたが、報道を見ている限り、来季こそはこのアンドラとブルゴスが昇格を果たすようです。
なお、13位のF.C.バルセロナB(5勝21敗)と14位のプラナサ・ナバーラ(5勝21敗)が3部へ降格となりますが、実際のところ3部から2部へ昇格辞退チームが出たり、2部のチーム数を以前の18に戻したい場合など、降格にならない可能性もあります。
6/16追記:アンドラの昇格が承認され、ブルゴスの昇格は経済的問題で不可となりました。マンレサが残留する模様
3部LEB Plata 2013-14
同じくここ5シーズンだけ見るとチーム数は、ディビジョンで別れた11チームと10チームの計21チーム→15→13→11→13と3部リーグも減り続けています。変則的に11+10=21チーム時代が2009-10シーズンでLEB Bronce(レブ・ブロンセ・銅)が消滅した次の年の応急処置だったのが伺えます。
2013-14シーズンはたったの13チーム、それでも基本思想は変わらず13チームが1リーグでホーム&アウェイの総当り、12チームと年2回(地元と敵地で)対戦して、計24試合がレギュラーシーズンになります。試合は基本的に土曜日の週1回開催です。2部と同様レギュラーシーズン1位のチームが自動優勝で2部への昇格の権利を得て、2位から9位の8チームがプレーオフ進出、プレーオフを勝ち抜いたチームも2部昇格の権利を得るというシステムになっています。
突っ込みどころ満載ですが、13チーム中、1位が優勝、2-9位までがプレーオフ、(12位13位が降格だと思いますがチーム数足りないので落ちないのかなあと推測)という形です。
レギュラーシーズン優勝:フンダシオン・バロンセスト・フエンラブラダ
プレーオフ優勝:C.B.プラット・ジュベントゥット
6/16追記:アンドラの昇格が承認され、ブルゴスの昇格は経済的問題で不可となりました。マンレサが残留する模様2014-15シーズンは16チームでの3部リーグになる模様
ややこしい4部EBA(エバ)
本当にややこしいのですが、一応書いておきます。4部リーグLiga EBA(リーガ・エバ)
スペイン全土を5つの地域に分け、と言っても北西部(グループA)は数が多いので、さらに2つに分け、計6組の地域リーグが実質4部リーグのリーガ・エバになります。
チーム数は毎年変わりますし、6つのリーグごとのチーム数もバラバラです、そのため開幕時期も数が多いところは早く始まり、少ないところは開幕時期が遅かったり、かなり自由な設計・運営となっています。
唯一徹底した思想は2回戦の総当りホーム&アウェイ戦だという事。つまりチーム数が多いリーグはレギュラーシーズンの試合数も多いです。またいわゆる交流戦のようなものもなく、他のグループのチームとレギュラーシーズン公式戦を戦うことはありません。
また、プレーオフのシステムも毎年変わっていて、しかもプレーオフ進出についても各リーグの上位が出るわけではなく、プレーオフを戦う財力があり、かつ成績がよかったチームが集まる仕組みのようです。
若手の育成と2部3部の関係
特徴的なのは、それぞれ1部ACBに所属するチームのBチームが2部や3部4部のリーグにあることです。例えば、レアル・マドリードはBチーム(17-23歳の選手で編成)が4部リーグを戦っています。エストゥディアンテスもBチームを4部リーグに参戦させており、メンバー構成は自主的に23歳以下にしているそうです。FCバルセロナのBチームはより上の2部リーグを戦いました、大半が18-22歳の若手ですが数名のベテラン選手もいます。ウニカハのBチームは4部リーグで自主的に18歳以下のチームで参戦しているそうです。
そこにさらに絡んでくるのがレンタル移籍制度で、例えばレアル・マドリード所属の19歳エルナンゴメスは将来性のある208㎝のPF選手、プレータイムを与えたいところですが、レアル・マドリードBチームは4部リーグ所属、その場合エルナンゴメスが4部でプレーしても得るものが少ないと判断され、レンタル移籍で1部ACBカハソルで1年間プレーしました。
例えば1部ムルシアのアルテアガ(211㎝で21歳)、彼もトップチームではプレータイムが少ない&Bチームが4部のため、2部の弱小チームにレンタルさせ、主力選手として活躍させました。弱小なので2部のプレーオフ進出はならず、シーズンは早めに終了。すかさずACBムルシアはレギュラーシーズン終盤戦に成長したアルテアガをレンタルから復帰させ、終盤戦の戦力として起用するという事も可能でした。こういった例は紹介するには数限りないほど存在しています。
で、そういった側面は別の機会に育成という視点で書きたいと思います。今回はリーグのピラミッドの仕組みという意味で書きました。以前別のブログで書いた『スペインバスケットボールリーグの仕組み』の補足になればと思い、2013-14シーズンを説明しています。
縦構造のリーグ・ピラミッドについて
実は2014年1月25日発売のHOOP P70に、FIBA事務総長パトリック・バウマン来日の件がコラムになっています。「バウマン氏は特にスペインに言及したわけではないが、」と前置きがあったうえで、スペインのリーグを例に1部ACBと2部3部のLEBについての解説が載っています。
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脱線から話は戻ります..
なお、EBAは別にして、2部リーグ、3部リーグは全日程を終了していますが、スペインは1部ACBはいよいよ来週からプレーオフ開幕です、ユーロリーグのタイトルを逃したレアル・マドリードとFCバルセロナのfinalとなるのか、それ以外のチームが力を見せるのか(レギュラーシーズン2位はバレンシア)、注目です
※5月29日から最長で6月29日までプレーオフはあります
※クォーターファイナルは最大3試合(先に2勝したほうが勝ち)
※セミファイナルとファイナルは最大5試合(先に3勝したほうが勝ち)