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FIBA対ユーロリーグの対立・火種は問題先送り?


      2016/10/15

ターキッシュエアラインズ・ユーロリーグ 2016-17は参加チームが24から16に減ります、ちょうどFIBAがリオ五輪へ出場するスペインに対して制裁をするのはとりやめると発表、これにからめてFIBA対ユーロリーグ問題について書いていてみました。

年々参加クラブ数をしぼっているユーロリーグ

FIBA対ユーロリーグ問題にもおおいに関係あるんですが、ユーロリーグは年々リーグを閉じた形にしていて、ビッグクラブのみが参加できるクローズドな大会にしていっています。

2014-15シーズンは24チーム+最後の1チームが8チームによる予備選含むで計31チーム(15カ国のクラブ)が参加。

2015-16シーズンは24チーム(予備戦は無し / 12カ国のクラブ)が参加。

そして
2016-17シーズンから16チームのみの参加(9カ国のクラブ)です、基本ユーロリーグが定めるAライセンスを保有する11チームに権利があり、この11チームは2015-16シーズンの成績に関係なく参加が保証されています。

ユーロリーグ 2016-17 Aライセンスチーム

【イタリア】
エンポリオ・アルマーニ・ミラン

【トルコ】
アナドル・エフェス
フェネルバーチェ

【スペイン】
レアル・マドリード
F.C.バルセロナ
ラボラル・クチャ

【イスラエル】
マッカビ・テルアビブ

【ギリシャ】
オリンピアコス
パナシナイコス

【リトアニア】
ジャルギリス・カウナス

【ロシア】
CSKAモスクワ

以上、11チームが成績に関係なく出場権を持ったクラブになります。

残り5枠はユーロリーグを運営するULEBが下記のように決定しています。

  • ULEBの運営するユーロカップの2015-16シーズン王者
  • アドリアリーグの2015-16シーズン王者
  • VTBユナイテッドリーグの2015-16シーズン王者
  • ドイツ1部リーグの2015-16シーズン王者
  • ワイルドカード

上から

  • ガラタサライ(トルコ)
  • レッドスター(セルビア)
  • ウニックス・カザン(ロシア)※
  • ドイツは現在プレーオフの最中
  • ダールシュファカ(トルコ)

※VTBユナイテッドリーグも現在まだプレーオフFinalの最中ですが、FinalのカードがCSKAモスクワ対ウニックス・カザンになったため自動的にウニックス・カザンに出場権

これでお分かりのように、2016-17シーズンからユーロリーグは参加することじたいが困難なリーグになりました。

Aライセンスがないチームは参加がとても困難に

例えばドイツのBEKO BBL(ブンデスリーガ)のチームは国内リーグで優勝(プレーオフ制覇)すれば翌年のユーロリーグに参加が可能です。しかしフランスリーグのチームは国内リーグで優勝してもユーロリーグへの出場権は得られません。これはイタリア、トルコ、イスラエル、ギリシャ、スペインといった国も例外ではありません、スペインで言えばいくらウニカハ・マラガやバレンシアがレアル・マドリードやバルサに勝ってリーガ制覇しても、翌年のユーロリーグには出場できないのです。

もう1度書きますよ、前述のようにAライセンスがないクラブの枠は5枠、しかも

  • ULEBの運営するユーロカップの2015-16シーズン王者
  • アドリアリーグの2015-16シーズン王者
  • VTBユナイテッドリーグの2015-16シーズン王者
  • ドイツ1部リーグの2015-16シーズン王者
  • ワイルドカード

だけなんです。

またノーチャンスという意味ではベルギーやポーランドなどの小国のリーグに所属するチームも国内リーグに優勝しても出場できません。

唯一の方法は国内リーグを戦いつつ、ユーロリーグの下に位置するユーロカップに出場し優勝すれば、翌年のユーロリーグに参加ができます。しかしそれは1シーズンだけの権利です。もしレアル・マドリードが不振でリーガ優勝を逃したり、まさかのプレーオフ進出を逃したとしても毎年出場を保証されています、このAライセンスチームとは違いは著しいものです。

※アドリアリーグは旧ユーゴスラビア諸国の強豪クラブが集まって運営されているリーグ
※VTBユナイテッドリーグは旧ソ連諸国の強豪クラブが集まって運営されているリーグ

前述のウニカハ・マラガ(スペイン)は現行のユーロリーグが始まった2001年から15シーズン連続で出場してきましたが、2016-17シーズンは出場クラブ数減という理由からユーロリーグに出場できません。これは今季半ばにすでにわかっていたことで、仮に現在進行中のLiga ACB 2016-17 プレーオフを勝ち抜いても出場はできないのです。

幸い(?)FIBAとユーロリーグが揉めたことで、ユーロリーグ側がやや軟化してウニカハ・マラガには2017-18シーズンから出場権が与えられるようですが、これは根本解決ではなく、あくまで一部の豊かなビッグクラブだけが参加できる大会にウニカハも追加されるというだけ、以前のようにチェコやフランス、ベルギーのクラブが参加していたり、リーガで旋風をおこしたビルバオが翌年ユーロリーグに参戦したりといった事はなくなります。

ユーロリーグはユーロリーグの利益の最大化をしたい

ユーロリーグの言い分としては、とにかく経済力があり、強くて集客力のあるクラブだけが参加する大会にすることで(していくことで)、試合は全て魅力的なカードになり、利益も最大化できるという方向性があり、国内リーグ王者だけれども中堅国のクラブには退場して欲しいというのがその主張です。

いっぽうFIBAヨーロッパの思想としては、そもそも1950年代にFIBAが始めたユーロリーグの前身FIBAヨーロッパチャンピオンズカップはその名の通り、欧州各国の前年優勝クラブだけが集まって、欧州一を決める大会でした。

もちろんスペインリーグ優勝と、ポルトガルリーグ優勝ではレベルに差がありすぎることはわかります。スペインリーグのプレーオフ1回戦敗退チームでさえ、デンマークリーグ優勝チームと比べたら話になりません。だからいくら当初の思想に近づけようと言っても全ての国のリーグ優勝チームだけの大会に戻そうというのはナンセンスです。だからといって現状のユーロリーグは一部のビッグクラブだけのものになっていて、ヨーロッパ全域を管轄するFIBAヨーロッパとしては、もう少し欧州の多くの国のリーグ(とそのクラブ)が参加できる形を主張するのも私にはわかるんです。

これがFIBA対ユーロリーグの対立の構図の1つです

火種は年間スケジュールの問題でもあります

さらにユーロリーグがユーロリーグだけの繁栄を考えている動きとして、ユーロリーグは2015-16シーズンまで基本的に試合を平日(木曜日or金曜日、稀に水曜日)に1試合を開催していましたが、2016-17シーズンから平日に2試合開催の週を増やします。これもユーロリーグの収益の最大化を考えると文句を言われる筋合いではないものですが、FIBAとしては2017年に始まるいわゆる「2017年新カレンダー問題」があります。2019年のFIBAワールドカップにむけて、予選方式を変更、サッカーのように2017年から2018年にかけて、シーズン中を含むホームアンドアウェイ方式で行うことを決めています。

詳しくは
FIBAがW杯予選方式をシーズン中を含むH&A方式に変更問題

そのためFIBAはユーロリーグや欧州各国リーグに対しても年間カレンダーの調整をずっと交渉していましたが、随分前からこれは過密スケジュールの問題もありNOという回答になっていました。(何もFIBAカレンダーに反対しているのはNBAだけではないんです)それに欧州各国の国内リーグ年間スケジュールもすでにカツカツです。そこにスケジュールを空けて代表に選手も派遣してという動き、これもFIBA対ユーロリーグと同じような欧州分裂問題の理由になっています。

欧州分裂は世界レベルでの混乱を生む可能性も

最後に私の意見です。私はFIBAが推進しているW杯予選方式の変更(シーズン中のH&A方式)には大賛成ですし、ユーロリーグが閉じたものになっていることに反対ですし、FIBAヨーロッパが新たに設立したFIBAバスケットボール・チャンピオンズリーグの思想には賛成です。

しかしFIBAヨーロッパ(とFIBA)がそれを実現するためにとった手法はとても下手ですし、ひどいやり方(制裁により男子スペイン代表をリオ五輪から排除をチラつかせるなど)でした、FIBAがやろうとしていることは良いことなのに、手法がまるで理解を得られない状態というのが私の見方です。

どっかで見た構図?

これって日本のケースに当てはめてみると、ちょっと似ていると思いませんか?男子の例だけで話しますが、日本は長い間代表チームが世界大会に出られず、国内リーグは分裂が続いていました。詳しくは省きますが、FIBAが内政干渉だというような批判さえ出るほどに介入、FIBAのタスクフォースと川淵さんの実行力のおかげで、いよいよ2016年9月に統一プロリーグ「B.LEAGUE」が開幕します。

欧州から見れば日本は2017年カレンダー問題に向けて、完全にFIBA派でまとまって、協会を頂点にBリーグと代表という両輪でバスケットボールを推進していく体制がしっかり準備できているんですね。Bリーグももう2017-18シーズンのシーズン中に代表戦(W杯アジア予選)があるのも想定して動いています。

欧州バスケットボールはどうなるのか?

2017年のFIBAカレンダー問題について、NBAがシーズンを中断するわけがない、NBAがシーズン中の選手派遣を許可するはずがない、ワールドカップ予選はNBA選手抜きで行われるのか?なんて予想がありましたが、現状の問題はそれ以前のところにいます。これまたここ数ヶ月の揉めている部分を省きますが、5月27日にFIBAはスペインを含む14カ国に対する制裁(と制裁予告)を取り下げ、リオ五輪と2017年ヨーロッパ選手権へ出場できるという事を発表しました。今後も状況を見ていくみたいなことが書いてありますが… http://www.fiba.com/news/fiba-europe-board-confirms-positive-response-by-national-federations-will-continue-to-monitor-situationより これにより一件落着どころか、FIBA対ユーロリーグ問題はますます火種をかかえたまま先送りになったと言えるでしょう。

なんの解決もないまま2016-17シーズンが始まり、そして2017-18シーズンに(具体的には2017年11月)始まるFIBAワールドカップ予選、これって本当に実現するんでしょうか?

コメントお待ちしております

珍しく個人の意見を長文書いてみました。
ご意見ご感想などコメントいただけると嬉しいです。
またFIBA対ユーロリーグ問題についての質問も歓迎です。
上記Facebookに投稿にコメントをいただくか、Twitter @el_baloncesto のほうでコメントください!

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